絶対的貧困と相対的貧困

昨日のブログで「相対的貧困」という言葉が出てきました。貧困の定義には複数のものがありますが、代表的な考え方として「絶対的貧困」と「相対的貧困」の2つがあります。
絶対的貧困というのはたとえば、食べ物がない、家がないなど人間としての最低限の生存条件を欠くような貧困のことを意味します。私たちが一般に「貧困」と聞いてイメージするのはこのような貧困です。
一方で相対的貧困というのは、簡単にいえば世帯の所得が、その国の全世帯の所得の中間値の半分に満たない状態のことを意味します。つまり、その国の文化水準、生活水準に比して、適正な水準での生活を営むことが困難な状態のことです。たとえば、我が国では高校の進学率は90%を優に超えているが、そのような状況のなかで経済的な理由により高校へ進学できない状態は貧困であるといえるかと思います。

絶対的貧困
・家がない  ・食べ物がない  ・服や履き物に事欠く など
人間として最低限の生存を維持することが困難な状態


相対的貧困
(日本においては)
・経済的な理由で高校に進学できない  
・経済的な理由で塾や予備校などに行くことができない
・経済的な理由で部活などに参加できない  など
その国の文化水準、生活水準と比較して困窮した状態

いま私たちが「子どもの貧困」について活動を行っていますが、私たちが主張している「子どもの貧困」とは相対的貧困のことです。
たしかに我が国においては、途上国のように毎日の食べ物に事欠き、履き物もなく、家もないというような状況の子どもはほとんどいないといっても過言ではありません。
もちろん、そのような絶対的貧困の状況にある子ども達を根絶していくことも非常に大切なことですが、同時に高校進学が当たり前となり、多くの子ども達が学校以外の塾や予備校などに通い、勉強している環境下において、経済的な理由によってそれらの機会が失われている相対的貧困の状況も決して見過ごすことはできません。
私たちは多くの市民の皆さんからの募金や寄付により相対的な貧困の状態にある子ども達に対して教育バウチャー(クーポン)を提供することにより、適切な学習環境を整備しようとしています。皆さまのご支援を心からお願いします。


子どもの貧困については阿部彩さんの著書によくまとめられています。関心のある方は是非、お読み下さい。

子どもの貧困―日本の不公平を考える (岩波新書)

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