湯浅誠著「反貧困」を読んで


こんにちは。Chance for Children副代表の経堂です。
今日は、僕が貧困に関心を持ち始めるきっかけとなった本を簡単に紹介させていただきます。ちょうど高校を卒業した後、大学に入るまでの間に読んだ、湯浅誠さんの「反貧困」という本です。
この本の中で湯浅さんは「溜め」という概念を使って、貧困状態にある人を説明しています。この「溜め」という概念が、僕にとってとても理解しやすいものでした。

お金などの、経済的な"溜め"。
家族や友人など、人間関係の"溜め"。
自信などの、精神的な"溜め"。
このような過去や現在の間に得た"溜め"が、原動力になると言います。

そして、この溜めが全体的に無い状態を、貧困だという考えを示しました。

この"溜め"は、僕がこれまで生きてきた中で、確かに感じたことがあるものでした。
トラブルが原因で起こった一時的な不登校、部活での大きな劣等感、受験といった機会に、自分の"溜め"をうまく原動力に抜け出してこれたのだと、感じていました。溜めを得られなかったわけではなく、むしろ充分に享受してきた人間として、逆にこの"溜め"がなかったら自分はどうなっていたかと想像することは、容易でした。
このような経緯で、僕は貧困という問題をとても身近に感じることができました。
そして、大学入学後にすぐにこのChance for Childrenを見つけ、積極的に関わり出すことができました。

Chance for Childrenが関わるのは、経済的に苦しい方が少なくないため、人によっては、クーポンといった経済的な支援だけでは不十分な場合があると考えています。Chance for Childrenもまた、経済的な"溜め"を与えるだけでなく、子どもに精神的な"溜め"、人間関係の"溜め"を与えられるものであればと考えています。