生活保護世帯の高校生を対象とした実態調査

生活保護世帯の高校生を対象に通学状況や学校生活等について調べる調査が開始されるというニュースがでています。堺市関西大学が合同で実施するそうです。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120906-00000523-san-soci

行政の支援策等によって生活保護世帯の高校進学率は上昇していますが、中退や不登校などによって就職できず、生活保護予備軍となってしまうケースも少なくありません。そして、彼らの次の世代にも、貧困は連鎖します。

ちなみに、独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査で、学歴と生涯賃金の相関関係は明らかになっています。中卒者と大卒者では、生涯賃金に平均で1億円もの差が生まれます。あくまでも平均値の話ですが、高校中退はそれほど大きな意味を持ちます。
http://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/kako/documents/21_p241-279.pdf

この「子ども貧困」という問題は、様々な要因が複雑に絡み合って起こるものなので、決して原因を一つに特定することはできません。

ただ、私たちは学校外教育の機会保障が大きなカギを握るのではないかと思っています。実際、ベネッセ教育研究開発センターの調査によると、年収400万円以下の世帯と年収800万円以上の世帯では、一人当たりにかける年間の学校外教育費用が3倍もの違いが生じることが明らかになっています。通塾率が60%を超える日本の中で、十分に学校外教育の機会を得ることができない子どもたちは厳しい状況に追いやられます。
http://benesse.jp/berd/center/open/report/kyoikuhi/databook/databook_04.html

これはあくまでも一つの観点にすぎず、日本の子どもの貧困問題を解決するには、行政・企業・NPO・市民が力を合わせて様々な取り組みをしていかなければなりません。

今回の調査が、貧困世帯の子ども達に対する適切な支援に繋がることを切に願います。私たちも是非この実態調査の結果を参考にしていきたいと思います。