3・11被災地子ども白書

当法人もお世話になっているNPO法人アスイク(http://asuiku.sendai-net.com/)の代表理事大橋雄介先生は、「3・11被災地子ども白書」という本を刊行している。被災地における子どもたちの現状を統計データや子ども・保護者の声など、様々な角度から伝えている。

その中で「支援過多による弊害」というページがあり、発展途上国への支援に関する研修結果を紹介している。

「アフリカの一人あたりの成長率と援助額は反比例する。『ハリウッドの映画スターが登場し、マラリアが萬延する地域に100万ドルの費用で10万張りの蚊帳を送るように欧米諸国の市民に声高に働きかけ、彼らの政府を鼓舞するとしよう。その後、外国製の蚊帳は現地に届き配布されて、『善行』は成し遂げられる。しかしその結果、市場には外国製の蚊帳が溢れるようになり、地元で蚊帳をつくる者はすぐに仕事を失う。彼の10名の従業員はもはや150名を超える扶養家族を養うことはできない(彼らはもはや施し物に依存するしかなくなる。)そして、5年もすれば外国製の蚊帳は破損し、使用に堪えられなくなる』」

もちろん東日本大震災発展途上国への支援とは異なる。しかし良かれと思って行った支援が度をすぎると、同じような結果を招くこととなる。(いや実際に招いている。)

CFCがバウチャーという仕組みにこだわり続けているのは、ひとつには民業圧迫ではなく、被災地の自立を支援するという目的があるためである。バウチャーは子どもには無償提供されるが、結果的に子どもが地域の塾や習い事で使うことで、被災した教育事業者に資金がまわり、雇用創出効果も見込まれる。つまり、子どもには無償でサービスを提供しながら、教育事業者の自立を支援できる一挙両得の仕組みである。

被災地では、教育事業者の方々も自ら被災しながら、子どもの支援を懸命に行っている。
私たちとしては、何とかこの仕組みを広げることで、被災地の復興に寄与していきたい。