法人設立2周年記念フォーラム開催のご報告
一般社団法人チャンス・フォー・チルドレンは、2013年6月20日をもって法人設立から2周年を迎えました。
これまでご支援いただいた皆様に心よりお礼申し上げます。
さて、この度は2周年を記念して、2013年6月29日に東京都港区の日本財団ビルにて記念フォーラムを開催しましたので、ご報告させていただきます。なお、フォーラムの会場は、法人設立初期よりハタチ基金の活動を通じてご協力いただいている公益財団法人日本財団様に無償提供していただきました。
当日は総勢70名以上の方々にお越しいただきました。ご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました。今回のフォーラムのテーマは、『これからの社会を担う子どもの「教育」と「お金」のあり方とは?』と設定し、教育格差の大きな要因になっている「教育費負担のあり方」について、皆様と深く考える機会になりました。
また、今回のフォーラムの目玉は超豪華ゲスト陣です。ライフネット生命保険株式会社代表取締役会長の出口治明氏、一般社団法人アスバシ教育基金代表理事の毛受芳高氏、IIHOE[人と組織と地球のための国際研究所]代表者でCFCアドバイザーとしてもご支援いただいている川北秀人氏にご登壇いただきました。ご協力いただき本当にありがとうございました。
それでは、プログラムに沿ってご報告させていただきます。
1.開会挨拶
○テーマ
日本の子どもの教育費の現状」(代表理事 今井悠介より)
開会のご挨拶を兼ねて、CFC代表理事の今井悠介より、今回のテーマである「日本の子ども達の教育費の現状」について講演させていただきました。
日本の公的な教育支出は先進国中最低レベル。その分家計での負担が大きいため、家庭の所得格差が教育格差に生まれやすい状況にあります。中でも特徴的なのが学校外教育支出のウェイトの大きさで、これはCFCが学校外教育支援を行う背景でもあります。当日の講演で配布したスライド資料は下記のURLからご覧いただけます。
○スライド資料「日本の子どもの教育費の現状」
http://www.slideshare.net/YusukeNojima/201306-cfc
2.パネルディスカッション
○テーマ:
これからの社会を担う子どもの教育とお金のあり方とは?
〜すべての子どもたちが必要な教育を受けられるために〜
○登壇者:
コーディネーター:
川北秀人 氏(IIHOE[人と組織と地球のための国際研究所]代表者)
パネリスト:
出口治明 氏(ライフネット生命保険株式会社 代表取締役社長)
毛受芳高 氏(一般社団法人アスバシ教育基金 代表理事)
今井悠介 (一般社団法人チャンス・フォー・チルドレン 代表理事)
いよいよ本フォーラムのメイン企画である、シナリオなしのパネルディスカッションが川北秀人氏のコーディネートのもと、開始されました。直前の講演で今井が提示した論点は次の3点。さあ、どんな討議になるのでしょうか?
(1)教育投資は、どこに、どのように行うのが適切か?
(どの教育段階?/個人?機関?/学校教育?学校外教育?)
(2)どの程度社会が負担するべきか?
(所得制限はつけるべき?全額社会負担?)
(3)財源はどのようにすればよいのか?
討議を始める前に、まずはゲストのライフネット生命保険株式会社の出口会長からご挨拶と自己紹介をしていただきました。ライフネット生命保険株式会社は「保険料を従来の半額にして、子育て世代が安心して赤ちゃんを産める社会にしたい」という出口会長の思いによって、設立されました。CFCのミッションとも重なる部分があり、強く共感します。
続いて、一般社団法人アスバシ教育基金の毛受代表理事より、ご挨拶と自己紹介をしていただきました。毛受氏が提唱されるのは、政府による教育投資でも、家計による教育投資でもなく、ソーシャルな教育投資。つまり、地域が子ども達のために、投資(寄付)するという第3の選択肢についてお話いただきました。
さて、討議開始です。どの教育段階に対して投資するのが適切かという議論。出口会長は「就学前教育に対する投資が最も投資効果が高い」と、まさに本質をついたご意見。これは、すでに歴史的に証明されています。これに対して毛受氏は高校生に対する教育投資の可能性について言及。高校時代に感動体験をすることは、彼らの可能性を大きく広げることにつながります。これには会場も納得の様子。一方、今井は、理想と現実のギャップについて指摘。低学年の子どもに対して野外体験を行うことや、幼少時代から地域のコミュニティーから疎外されない環境を作るは本質的な解決につながる一方で、目の前には高校に進学できず最終学歴が中卒で終わってしまう子ども達もいるため中3生に対する学力支援の重要性も感じるとの意見。現代社会において、低学歴は自立から遠ざける結果となります。しかし、やはりここは、少し長い視点でみて、学歴中心の日本人の価値観の変革が求められるのかもしれません。
議論は途中それつつも(笑)、さらに白熱した討議は続きます。最終的には「じゃあ結局財源はどうするのか?」という点について。出口会長からはここも本質を突いたご意見。歴史的に見て、社会が子どもの教育費を負担することは当たり前。特に地方自治体が担うのが最も適切。一方で現場サイドの毛受氏や今井からは、国や自治体が担えるようになるまで(税制が変わるまで)の間は、民間寄付による投資を行う等して賄うことの必要性について言及。
ここで、コーディネーターの川北氏から重要な投げかけが。「社会で担ううえで重要なのは、子ども達を支えた地域の住民が『育てた』という実感を得ること。逆に子ども達自身も『地域に育ててもらった』という感覚を持てるようになることが重要。」とのこと。公的な資金で負担するにしても、民間寄付で負担するにしても、重要なことはまさにここではないかと思います。これまで多くの若者と触れ合ってきた毛受氏からも、地域に育てられて変化していった若者について具体的な事例をお話いただきました。
ライブ感あふれる議論が進み、あっという間に1時間半が経過しました。最後は会場の皆様との意見交換。様々な意見や質問が飛び交いました。
時間の関係で、最後までつきつめて討議するのは難しかったですが、濃密な2時間の討議が終了しました。是非またこのような機会を作れればと思います。
地域社会を担っていく子ども達への教育投資は、いずれ必ず自分が返ってきます。これが「投資」たる所以ですね。
短い時間ではありましたが、本フォーラムが、ご来場いただいた皆様一人ひとりにとって日本の子ども達、自分の地域の子ども達の教育費について考え、行動していただけるきっかけになればとてもうれしく思います。一方、教育NPO側の私たちも、教育投資の効果を高めること、地域が投資したことの実感を得るための仕組みを作っていくという宿題をいただきました。
大変ご多忙な中ご参加いただいた皆様、ご登壇いただいたゲストの皆様には心よりお礼申し上げます。また、最後にこのフォーラムの運営に協力いただいたNPO法人夢職人の皆様、会場を提供してくださった公益財団法人日本財団の皆様には深く感謝いたします。
皆様に見守られながら、本当によい3年目を迎えることができました。
どうぞ、次の1年もよろしくお願いいたします!
■フォーラム概要
○日 時:2013年6月29日(土)13:30〜16:30
○内容:
13:30〜14:10 開会挨拶「日本の子どもの教育費の現状」
14:15〜16:00 パネルディスカッション【登壇者】
出口治明 氏(ライフネット生命保険株式会社 代表取締役会長)
http://www.lifenet-seimei.co.jp/毛受芳高 氏(一般社団法人アスバシ教育基金 代表理事)
http://asubashi.jp/川北秀人 氏(IIHOE[人と組織と地球のための国際研究所]代表者)
http://blog.canpan.info/iihoe/今井悠介(一般社団法人チャンス・フォー・チルドレン 代表理事)
http://www.cfc.or.jp/○会 場:日本財団ビル
※公益財団法人日本財団様より無償提供していただきました。
http://www.nippon-foundation.or.jp/○参加者:75名
○参加費:一般:2,000円/学生:1,000円
○主 催:一般社団法人チャンス・フォー・チルドレン
http://www.cfc.or.jp/○協 力:特定非営利活動法人夢職人
http://yumeshokunin.org/